みなさんはVoigtlander(フォクトレンダー)というレンズメーカーをご存知でしょうか。
Voigtlander(フォクトレンダー)とは1756年にオーストリアのウィーンで創業された光学機器メーカーで、1999年からはCOSINA(コシナ)という長野県にある光学機器メーカーが引き継いでいます。
そのフォクトレンダーから2023年に発売されたのがこのULTRON 27mm F2という単焦点レンズです。
カメラ業界最大の展示会であるCP+で発表され、かなりの注目を集めていたレンズでしたが実際にしばらく使ってみたので感想を交えつつレビュー記事にしました。
記事ではレンズのスペックだけでなく実際に撮った写真作例も多く載せていますのでぜひ最後まで読んでみてくださいね。
なお本記事は僕が個人的に購入したので一切の忖度はありませんのでご安心ください笑
タク|カメラ・ガジェットブロガー
写真が好きなブロガー。普段はX-E3やRICOH GRIII、SONY RX100Vで街歩きをしながらスナップを撮っています。それをLightroomで現像してインスタやXにアップして楽しんでいるのでぜひフォローしてね。
フォクトレンダーULTRON 27mm F2について
焦点距離 | 27mm(35mm換算:40mm) |
最小絞り | F2 |
画角 | 53.7° |
最短撮影距離 | 0.25m |
最大撮影倍率 | 1:6.7(約0.15倍) |
レンズ構成 | 4群6枚 |
フィルター径 | Φ43mm |
絞り羽根枚数 | 10枚 |
サイズ | Φ53.9×23.5mm |
重量 | 120g |
このフォクトレンダーULTRON 27mm F2というレンズは軽量薄型のいわゆるパンケーキレンズです。
パンケーキレンズはよくスナップにおすすめと言われていますが、このフォクトレンダーULTRON 27mm F2も非常におすすめです。
もちろんFUJIFILM純正にも同じようなコンセプトの薄型レンズはありますが、僕的にこのフォクトレンダーのレンズには以下の特徴があると考えています。
フォクトレンダーULTRON 27mm F2の特徴
- 純正に勝るとも劣らない上質な作り
- スナップシューターからの評価が高い
- 意外とコスパが高い
純正に勝るとも劣らない上質な作り
まず前提としてフォクトレンダーのレンズは総じて上質です。
その品質は純正レンズにも勝るとも劣らない作りで、業界内の評価も非常に高いです。
特に言われるのがヘリコイドのトルク感が絶妙で素晴らしいという点ですが、ヘリコイドとはピントを合わせるために鏡筒を回すためのらせん状のねじのことで、レンズ内部のパーツです。
マニュアルレンズにおいて、ピントリング(フォーカスリング)を回すときのトルク感は非常に重要で、軽すぎても重すぎても使いにくいので絶妙な調整が難しいとされています。
フォクトレンダーのレンズはそのヘリコイドのトルク感が高評価で、どのレンズも最高のトルク感を実現しています。
またレンズ鏡筒も金属製で、軽量にも関わらず重厚感があり、所有欲を満たしてくれます。
正直安価な純正レンズよりはだいぶ高級感があるのでぜひ手に取ってみて欲しいです。
スナップシューターからの評価が高い
次にスナップシューターからの評価が高い点についても触れておきたいと思います。
写真家といってもいろいろなジャンルがあり、ネイチャーフォトや動物、建物、ポートレートなど多種多様なシーンがあります。
その中でもストリートスナップで活動しているフォトグラファーから高い評価を得ているのがフォクトレンダーというブランドです。
評価されているポイントとして多いのが
- シャープ
- ボケ感が綺麗
- ヘリコイドのトルク感
- 高いビルドクオリティ
などが挙げられ、僕も同じように感じています。
意外とコスパが高い
サードパーティ製レンズという視点からするとやや高額ではあります。
実際に同じ27mmの焦点距離だとFUJIFILM XF 27mm F2.8 R WRがあり、そっちよりもやや高額になります。
ただ比較すると以下の点でフォクトレンダーが勝っています。
- F値
- 最短撮影距離
F2とF2.8だと1段分の差があります。
いずれも手振れ補正機構がついていないということを考えるとシャッタースピードは最低でも1/125秒は確保しておきたいところです。
そんなときにこのF2とF2.8の差が出ます。
少し暗めな場所では本当にこの差が大きな違いにつながることが多いです。
また最短撮影距離も純正27mmが34cm、フォクトレンダーが25cmとフォクトレンダーの方が被写体に寄ることができます。
これにより表現の幅が広がることになり、テーブルフォトや花の撮影などがしやすくなります。
この違いと金額を考えると意外とコスパが高いと言うこともできる点がフォクトレンダーのうまいところでもありますよね。
フォクトレンダーULTRON 27mm F2を購入した理由
実際に僕がフォクトレンダーULTRON 27mm F2を選んだ理由についても書いていきます。
いくつかありますが、主な点は以下の3つです。
- 40mm相当のパンケーキレンズが欲しかった
- 中華レンズとの違いが気になった
- 一生使えるレンズが欲しかった
40mm相当のパンケーキレンズが欲しかった
そもそものレンズ選びの前提が40mmのパンケーキレンズが欲しかったということです。
それまでRICOH GRIIIを使っていて、GRIIIの焦点距離が28mmです。
そんな中、40mmバージョンのGRIIIxという超人気コンデジが発売され話題となりました。
僕もGRistとして気にならずにはいられませんでした。
でも人気すぎて常に在庫がないという状態が続いていていつになったら買えるんじゃと。
そうこうしているうちにだんだんとファインダーで覗いて撮りたいなと思うようになり、そのタイミングでFUJIFILM X-E3というミラーレスを購入しました。
GRを使っていた手前、あまり大きな装備ではおそらく持ち出さないと思ったため、使うレンズもパンケーキが良いなと思って軽量コンパクトな40mmのレンズを探し始めました。
そして候補に挙がったのが以下のレンズでした。
- FUJIFILM XF27mm F2.8 R WR
- Voigtlander ULTRON 27mm F2
- TTArtisan 27mm f/2.8
FUJIFILM X-E3のレビュー記事でもおすすめしているレンズたちですが、この中で僕の好みにハマったのがフォクトレンダーでした。
中華レンズとの違いが気になった
僕は他にも銘匠光学のTTArtisan 35mm f/1.4という35mm換算50mm相当のレンズを使っていて、価格も1万円前後というめちゃくちゃ安くてそこそこ映るレンズと評価しています。
一言で言うとオールドレンズを新品で買えるみたいな位置づけのレンズで、シャープなんだけどふんわりとした印象の写真が撮れます。
安いし試しに買ってみるか程度で購入したので撮れた写真を見て驚いたのを覚えています。
そんな中華レンズとサードパーティとしてはそこそこ高いフォクトレンダーのレンズにどのくらいの差があるのかが非常に気になったという点も購入を決めたポイントです。
実際に使ってみてフォクトレンダーのレンズはよりシャープで色もクリアだけどしっかり色が乗るような写りにかなり感動しました。
一生使えるレンズが欲しかった
最後の決め手は「一生使えるレンズ」が欲しかったからです。
一生使えると言っても軽量コンパクトなパンケーキレンズという条件は外せません。
そうなると選択肢は純正のXF27mm F2.8 R WRかこのフォクトレンダーULTRON 27mm F2の二択になりました。
そこから純正よりも一段明るくビルドクオリティも良さそうなフォクトレンダーを選んだというわけです。
純正のものも悪くはありませんでしたが使っている人の誰もが良いと言っているフォクトレンダーのレンズというものを一度体感したいという思いもあり思い切って買ってみました。
結果的にまさに一生使えるレンズと出会うことができたので良かったです。
フォクトレンダーULTRON 27mm F2を使うメリット
買ってみてからしばらく使ってみて、改めて感じたフォクトレンダーULTRON 27mm F2のメリットを挙げていきます。
- 薄型軽量で軽快スナップができる
- シャープでクリアな写り
- ビジュアルがめちゃくちゃ良い
期待以上の満足といった感じですが一つひとつ掘り下げていきます。
メリット①:薄型軽量で軽快スナップができる
まずはやっぱり「薄型軽量で軽快スナップ」ができるという点です。
買う前からサイズはわかっていましたが実際にX-E3に装着してみるとコンデジかと思うほどのコンパクトさ。
僕は普段ボディバッグを使うことが多いんですが、コンパクトは言えミラーレスカメラをさっと出し入れできるのは本当に便利です。
基本スナップするときは首からかけていますが、移動の時はバッグに入れておくことが多いので重宝しています。
冬ならコートのポケットにも入るほどなのでバッグすらいらないかもしれません。
メリット②:シャープでクリアな写り
そして重要なポイントである写りです。
非常にシャープでクリア。
マニュアルレンズなのでオールドライクな写りかと思われるかもしれませんが、キリっとした現代的な写りをします。
そのうえボケ感も美しいので柔らかい印象も表現できるのでまさにこれ一本でいろいろな撮り方を楽しむことができます。
また最短撮影距離も25cmとかなり寄ることができるのでテーブルフォトはもちろんマクロ撮影とまではいきませんが、花をダイナミックに撮ることもできるのでスナップの幅も広がります。
色も鮮やかなので彩度をいじることでビビットからクラシックまでいろいろな表現ができますよ。
メリット③:ビジュアルがめちゃくちゃ良い
そしてなんといってもその見た目の良さ。
付属のレンズフードもフジツボ型のクラシカルなデザインで全体的な印象を損なうことなく、つけてもつけなくてもかっこいいです。
これは完全に個人的な好みですが純正レンズよりも圧倒的にかっこいい。
特にX-E3のようなクラシカルなデザインのカメラとの相性が抜群によく、他にもX-E4やX-Proシリーズにもピッタリのビジュアルです。
それ以外にもFUJIFILMのカメラは基本的にクラシカルなデザインになっているのでX-Tシリーズなどの新型ボディにもおすすめです。
フォクトレンダーULTRON 27mm F2の弱点と対策
もちろんメリットばかりでもありません。
完全自腹購入なのでその辺は一切の忖度なしでレビューします。
ただデメリットといっても対策できるものばかりなのでそこまで気にする必要はないかもしれません。
僕が実際に感じた点は3つくらいでした。
- フレアが発生しやすい
- フォーカスリングは慣れが必要
- 電子接点は新しいカメラにしか対応していない
デメリット①:フレアが発生しやすい
まずは写りにおける弱点は「フレアが発生しやすい」という点です。
フレアとは光がレンズ内で反射して発生する光のにじみのことで写真全体や一部が白っぽくかすんだように見える現象です。
オールドレンズなどに多く見られ、これを味として楽しむことも多いです。
なので完全にデメリットかというと実はそうでもなく、雰囲気作りに利用するのもアリですよ。
特に横からの光が影響しやすいかなと感じていますが、日中明るいシーンよりも夜間のスナップで光源が近くにあると起きやすいですかね。
ゴーストは一度も起きていないのと、正面からの逆行耐性は高いと感じていますのでフレアも防ぎたい人は付属のフジツボフードではなくもっとレンズ全体を覆うようなタイプのフードを付ければ対策できますよ。
デメリット②:フォーカスリングは慣れが必要
フォクトレンダーULTRON 27mm F2はマニュアルレンズです。
なので当然ピントを合わせるにはマニュアル操作をする必要があります。
その際、ピントリングにはレバーがついていてこれを摘まんだり、指の腹で操作することになります。
マニュアルレンズを使ったことがない場合、少し慣れが必要なのでその点を頭に入れておいた方がいいでしょう。
逆に慣れてしまえばレバーの位置でだいたいのピントがわかってしまう点は使いこなす楽しさを味わうこともできます。
オートフォーカスのレンズみたいに際限なくピントリングが回ってしまうことがないので、無限遠にしたいときは一瞬で合わせることができます。
なのでスナップのときはF8まで絞って無限遠に合わせておけばあとはシャッターボタンを押すだけでだいたいピントが合うという仕組みです。
僕は基本F8でピントは3mに合わせておきます。そうすると1.5mから無限遠までピントが合っている状態にすることができます。
これがパンフォーカスといってスナップ最強の撮影手法です。
ジャスピンじゃなくてもいいストリートスナップではオートフォーカスより早いですよ。
デメリット③:電子接点は新しいカメラにしか対応していない
フォクトレンダーULTRON 27mm F2には電子接点がついています。
これは絞り値やピントの距離・被写界深度などの情報をカメラ本体に伝えることができるんですが、比較的新しいカメラにしか対応していません。
- X-H2s:v3.01以上
- X-H2:v1.21以上
- X-Pro3:v1.23以上
- X-T5:v1.03以上
- X-S20:v1.13以上
- X-S10:v2.10以上
- X-H1:v2.13以上
- X-T4:v1.25以上
- X-T3:v4.12以上
- X-T2 *4:v4.40以上
- X-T30:v1.41以上
- X-T30 II:v1.00以上
- X-E4:v1.04以上
これより古い機種だと対応していませんのでExif情報をカメラに伝えることができません。
僕もX-E3は対応していませんのでLightroomに読み込んでもF値は1のままです。焦点距離に関してはマウントアダプター設定を40mmに設定すれば40mmのレンズで撮影したということだけは表示させることができます。
よほどのことがない限り困ることはありませんので特に気にすることでもないかもしれませんが、SNSなどでExif情報を記載するときなんかは、自分でF値を覚えておく必要があるという点に注意ですね。
作例写真
レビューはわかったから実際どんな写真が撮れるの?という方に向けて作例写真を載せます。
すべてFUJIFILM X-E3で撮ったものです。
まとめ
フォクトレンダーULTRON 27mm F2 X-mountをレビューしました。
個人的には「一生使えるレンズ」だと思っています。
写りもビジュアルも本当に満足しているのでこれからもたくさんの写真を撮っていきたいと思います。
フォクトレンダーはマニュアルレンズしかありませんが、どうしてもオートフォーカスでもっと気軽にスナップしたいという人は純正のXF27mm F2.8 R WRをおすすめします。
予算的にもっと安いのがいいなという方には銘匠光学TTArtisan 27mm f/2.8を試してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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