TTArtisan 35mm f/1.4 Cというレンズを知っていますか?
一言でいうとAPS-C専用の「新品で買えるオールドレンズ」って感じで、コスパ最強のマニュアルレンズです。
- マニュアルレンズに興味があるけど自分に扱えるか不安
- 中華レンズが最近話題だけど実際どうなん?
といった方にとってはまさにおすすめのレンズとなっています。
というのも「1万円前後で買える」というその価格。
「いや1万円のレンズなんてどうせ安かろう悪かろうなんでしょ?」といった声が聞こえてきそうですが、実際に僕もそう思いつつ興味本位で買ってみました。
そしたらその柔らかくもそこそこの写りでびっくりしたのを覚えています。
そこで本記事では実際にこのレンズを使った感想を交えて詳しくレビューしていきたいと思いますのでぜひ最後まで読んでみてください。
記事中では作例写真も載せていますのでどんな写りかもチェックできますよ。
タク|カメラ・ガジェットブロガー
写真が好きなブロガー。普段はX-E3やRICOH GRIII、SONY RX100Vで街歩きをしながらスナップを撮っています。それをLightroomで現像してインスタやXにアップして楽しんでいるのでぜひフォローしてね。
TTArtisan 35mm f /1.4 Cについて
焦点距離 | 35mm(35mm判換算で54mm相当) |
レンズ構成 | 6群7枚 |
対応撮像素子 | APS-C |
最短撮影距離 | 0.28m |
絞り | F1.4-F16 |
絞り羽根 | 10枚 |
フィルター径 | 39mm |
サイズ | Φ56-63mm × 全長約45mm |
重量 | 約180-205g |
フォーカス | マニュアルフォーカス |
マウントによって若干サイズ感は上下しますがレンズ本体は同じです。
現在対応しているマウントは以下のマウントとなっています。
- SONY Eマウント
- FUJIFILM Xマウント
- マイクロフォーサーズ
- NIKON Zマウント
- CANNON RFマウント
- Leica Lマウント
TTArtisan(ティーティーアルチザン)とは
TTArtisanとは中国深センにある銘匠光学というレンズメーカーが作っているブランドで主にマニュアルレンズで近年注目を集めています。
元々はOEMメーカーとして他社のレンズを製造していたということもあり、品質管理のノウハウもある程度しっかりしているのはもちろん、個性的なレンズを低価格で提供していることで多くのユーザーから支持を得ています。
日本では名古屋にある焦点工房という会社が取り扱っていて、他にも同じ中国の七工匠の7artisans(セブンアーティザンズ)や世界各国のユニークなレンズやアクセサリーを販売しています。
スペック解説
TTArtisan 35mm f1.4 Cのスペックについて掘り下げていきます。
焦点距離: 35mmというのは35mm換算だと54mmくらいなので、標準レンズとされる画角で様々なシーンで使いやすい焦点距離です。
開放f1.4という明るさもこの価格で買えるのは本当に驚きです。ボケ感は流石に高級レンズと比べてしまうと劣りますが、それでも柔らかくそこまで雑味は感じられません。
1段絞ってF2で撮ってみるとシャープさが増すので個人的にはF2が好きです。
そしてこれが個人的にポイントが高い点ですが最短撮影距離が28cmというところで、50mm相当のレンズで28cmまで寄ることができればテーブルフォトも簡単に撮れますし物撮りにも使えます。
絞り羽根は10枚で絞った時の光芒も10本になります。(奇数枚数は羽根の倍の光芒になります。)
そしてレンズの鏡筒も金属でできていて安っぽさはないのに重量約180gと非常に軽くコンパクトに作られているのもスナップに持っていきやすいサイズ感。
僕はFUJIFILM X-E3(レビュー記事はこちら)につけて撮り歩きました。
購入した理由
次に僕がTTArtisan 35mm f1.4 Cを購入した理由について。
主な点を挙げるなら
- 安かった
- 標準域が欲しかった
- X-E3で使いたかった
という条件のもと探した結果このレンズに出会い、冒頭にも書きましたが僕も「初めてのマニュアルレンズなのでずっと使っていくかどうかわからん」という気持ちと、この安さなら失敗してもいいやという感じで買いました。
マニュアルとはいえ新品のレンズが1万円前後で買えるなんて実質無料みたいなもんです。
焦点距離もGRⅢを使っているので28mmよりも標準側のレンズが欲しかったというのもあって、無難に50mm相当でいいかなと。
最後はX-E3につけたかったのでクラシカルな見た目のこのレンズがぴったりだったというのも決め手のひとつでした。
このレンズのおかげでマニュアルレンズの楽しさを知り、今はVoigtlander ULTRON 27mm F2(レビュー記事はこちら)というレンズに出会うことができました。
TTArtisan 35mm f1.4 Cの特徴(メリット・デメリット)
それでは実際に使ってみた感想をメリット・デメリットという形で解説します。
はじめに両方挙げるとこんな感じです。
- メリット
- 軽量コンパクト
- 開放F1.4の明るさ
- 柔らかい写り
- AFが使えない
- シャープさはそこまでない
- 電子接点がない
次にメリット・デメリットについて深掘り解説してきます。
メリットと活かし方
先ほど挙げたとおりメリットは以下の点です。
- 軽量コンパクト
- 開放F1.4の明るさ
- 柔らかい写り
①:軽量コンパクト
見てのとおりTTArtisan 35mm f1.4 Cは小さくて軽いレンズです。
そのため旅行にも持っていきやすくスナップにも使いやすいレンズと言えます。
換算50mmはポートレートにも使えますし下手に周囲の情報を入れたくない場合はかなり重宝するのでひとつ持っておいて損はありません。
他のレンズをメインで使っていてもこのサイズ感ならバッグの隙間に入れておくこともできるので気軽に持ち出すことができます。
僕も今はフォクトレンダーのULTRON 27mm F2という完さん40mm程度のレンズをメインで使っていますが、TTArtisanのレンズもバッグの中に忍ばせて出かけることも多いです。
②:開放F1.4の明るさ
F1.4という明るさは相当明るく、キットレンズではまずありえないです。
よく言われる撒き餌レンズと言われるものもF1.8が主流なのでそれよりも明るいF1.4というのは比較的高級レンズでなければ体験できません。
その明るさがこの価格で体験できるというのもこのレンズの魅力だと思います。
F値が明るいとなにかいいことあるの?と思われるかもしれませんが、夕方以降のスナップや室内の撮影だとかなりメリットを享受できます。
ちょっと暗めなカフェやバーに行ってもF1.4なら低感度で撮影することができるので画質を保ったまま露出を調整することが可能になります。
③:柔らかい写り
これは完全に好みの問題ですが、TTArtisan 35mm f1.4 Cの写りは柔らかい印象が特徴的で、まるでオールドレンズのような感覚を味わうことができます。
現代的なくっきりはっきりのバキバキシャープな写りにはなりませんが、柔らかくもぱっと見はシャープに見えて、拡大するとそこまでエッジは立っていない不思議な写りです。
それが非常に魅力的で一種のエロティシズムを感じるほど。
色乗りも悪くなく、雨の降ったあとの花を写すととてもみずみずしい写りになります。
オールドレンズが気になっている人はぜひこのレンズを使ってみてください。
オールドレンズは当たりはずれがかなり激しいので似たような写りを体感できるならかなり「アリ」ですよ。
デメリットと対策
次にデメリット。
- AFが使えない
- シャープさはそこまでない
- 電子接点がない
当然1万円で買えちゃうレンズですからメリットばかりではありません。デメリットもありますので対策が必要です。
①:AFが使えない
このレンズはマニュアルレンズなので当然オートフォーカスが使えません。
純正のレンズにはAF/MFの切り替えでオートフォーカスが使えるものもありますが、価格と軽量コンパクトさを追求するとどうしてもAFの搭載は難しいと思います。
ですがマニュアル操作も慣れれば素早くピントを合わせられますしスナップで使うならパンフォーカスにしておけばある意味オートフォーカスよりも早い撮影が可能です。
パンフォーカスとは手前から奥までピントが合っている状態のことでF値をF8以上に絞ってピントを3mや無限遠に合わせればその状態になります。
詳しくは別の記事で解説しますね。
②:シャープさはそこまでない
メリットのところでも書きましたが現代的なくっきりはっきりのバキバキシャープな写りは期待できません。
逆に柔らかくふわっとしたオールドレンズライクな写りが特徴的なのでシャープな写りが好きな人にはあまり刺さらないかもしれません。
それでも気になっている人はカメラ側の設定でシャープネスを少しプラスに設定すると好みの写りに近づけることもできます。
それか写真アプリやLightroomで調整するのもアリで、僕もシーンによってはそうやってシャープさを増して現像することもあります。
逆に女性や子供を撮るときはこの柔らかくふんわりとした写りが相性抜群で、めちゃくちゃ雰囲気の良い写真に仕上がります。
③:電子接点がない
安価なレンズなので仕方のない部分ですが、このレンズには電子接点がないので焦点距離や絞りなどのexif情報がカメラ側に伝わりません。
なので撮った写真の焦点距離や絞りは自分で覚えておかないとなりません。
カメラによってはマウント設定という項目で使っているレンズの焦点距離を設定することもできますが、F値に関してはまったく情報がありませんので後でexif情報で検索や整理したい場合は使いにくいかもしれません。
これについては対策はメモくらいしかありませんのでご注意ください。
他の中華レンズとの比較
TTArtisanのような安価なレンズは実は他にもあって、それがちょっと名前が出てきた7artisansです。
7artisansは七工匠というメーカーのブランドでほぼ同じようなイメージのレンズです。
7artisansにも35mm F1.4 MarkⅡというレンズがあるので比較してみましょう。
TTArtisan 35mm f/1.4 | 7artisans 35mm f1.4 | |
---|---|---|
レンズ構成 | 6群7枚 | 5群8枚 |
最短撮影距離 | 0.28m | 0.35m |
絞り | F1.4-16 | F1.4-16 |
絞り羽根 | 10枚 | 9枚 |
フィルター径 | 39mm | 49mm |
サイズ | Φ56-63mm × 45mm | 不明 |
重量 | 約180 – 205g | 228g |
価格 | 12,000円前後 | 11,000円前後 |
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7artisansのサイズは詳細不明ですがほぼ同じようなサイズ感と考えて大丈夫です。
発売は7artisansのレンズの方が新しく、見た目もスマートな印象です。
僕がTTArtisanを購入した後に知ったレンズなのでもしこっちも知っていたらこっちを選んでいた可能性もないこともないですが、重量が228gとTTArtisanよりも重たくなるので軽量さを重視している僕としてはやっぱりTTArtisanを選んだかなと思います。
TTArtisanはその見た目がクラシカルすぎるので本体となるカメラを選ぶかもしれないという点では7artisansの方が見た目的にマッチするカメラは多そうですね。
見た目や重量以外のスペック面では以下のような違いがあります。
- レンズ枚数
- 絞り羽根の枚数
- 最短撮影距離
- 絞りのクリック感の有無
レンズはTTArtisanの方が1枚少なくこれが重量の差になっているものと思われます。
絞り羽根は7artisansの方が1枚少ない9枚となっています。これにより光芒の線の数も18本となり、キラキラ感は7artisansの方があるかもしれません。
これは完全に好みの問題ですね。
あとは最短撮影距離の差があり、TTArtisanの方が近づいて撮ることができます。
また絞りを変えたいとき、カチカチとクリック感があるTTArtisanに対して、7artisansはデクリック仕様といってクリック感がありません。
これは動画撮影を想定してクリック音が入らないように配慮した設計ですが、写真を撮る場合ならクリック感はあった方がいいかなと思います。
いろいろな場面を想定するとTTArtisanのレンズの方が使いやすさに軍配ですね。
TTArtisan 35mm f/1.4 Cの作例写真
実際にどんな写真が撮れるのかを試してきました。
いかがですか?
LightroomでRAW現像こそしていますが、僕はそこまで大げさな編集はしませんのでレンズの特徴はそのまま残っていると思います。
柔らかい写りでボケ味もそこまでうるさくない、オールドレンズライクな写りが好きな人はハマると思いますよ。
こんな人におすすめ
実際に使ってみたメリット・デメリットから考えて、どんな人におすすめかも考えてみました。
僕的にこのレンズをおすすめできるのは以下のような人です。
- とにかく安くて使えるレンズが欲しい
- はじめてのマニュアルレンズでどれがいいか迷っている
- 動き回る被写体はあまり撮らない
このレンズの最大のメリットといってもいいのが価格です。
今の時代、この価格でレンズが買えるのは非常にまれです。
中古でも1万円台で買えるなんてよっぽど状態が悪いかジャンク品かのどちらかです。
それが新品で買えるんですから驚愕ですよね。
なのではじめてのマニュアルレンズで迷っている人はとりあえず買っても損はないと思いますよ。
オートフォーカスが使えないから不安という方も、動き回る子供やペットを撮らないのなら、そこまで気にすることもありません。
スナップで使うならなおさらですし、最悪パンフォーカスで撮っちゃえば大体ピントが合うので写ルンです感覚で気軽に撮れます。
購入者のレビュー
僕以外にも購入して使った人のレビューもまとめてみます。
- オールドレンズのような写り
- 普通によく写る
- この価格なら納得・コスパ良し
- 価格以上
- マウントが固い
- レンズキャップがねじ込み式で不便
特に多かった声はこのような感じですかね。
写りに関してはこの価格なら十分という評価がほとんどでした。
逆にここがイマイチという点はカメラ本体につける際にちょっと固いということと、レンズキャップがねじ込み式なので不便という点くらいでした。
確かに少し固い印象はありますし、ねじ込み式のレンズキャップも不便といえば不便ですが、個人的にはそこまで気になるようなことではなかったですかね。
僕はスナップ中、ほとんどレンズ交換はしませんしレンズキャップもしないで歩き回るので現地について使うときに外してしばらくスナップして帰るときにキャップをするという感じなので。
まとめ
最後に記事のまとめです。
メリット・デメリット
- 軽量コンパクト
- 開放F1.4の明るさ
- 柔らかい写り
- AFが使えない
- シャープさはそこまでない
- 電子接点がない
こんな人におすすめ
- とにかく安くて使えるレンズが欲しい
- はじめてのマニュアルレンズでどれがいいか迷っている
- 動き回る被写体はあまり撮らない
結論「とりあえず買っとけ」と言っていいレンズです。
失敗しても1万円前後ですし、それでも合わなければ売却できますので割とリスクはないのではないかと思っています。
僕は普段シャープな写りをするレンズを使うことが多いのでこれはこれで表現の幅としてずっと持っておきたいなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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